交通事故や脳梗塞などの病気で脳が損傷され、記憶能力、集中力や考える力、感情のコントロールなどの障害が生じることがあります。これらの障害を『高次脳機能障害』と言います。
これまで、医学的、学術的な定義では、高次脳機能障害は、脳損傷に起因する認知(記憶・注意・行動・言語・感情など障害全般をさしていました。例えば、言語の障害である「失語症」や道具が上手く使えなくなる「失行症」、知的な働きや記憶などの働きが低下する「認知症」のほか、「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」などが含まれます。
身体の障害がなかったり、その程度が軽いにもかかわらず、「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」といった障害が原因となって、日常の生活や社会での生活にうまく適応できなくなってしまいます。
I.主要症状等 脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。 現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。
II.検査所見 MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。
III.除外項目 脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。
診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。 先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。
IV.診断 I〜IIIをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。 高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。
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